住民説明会や庁議に臨む時、多くの人は説明資料の完成度ばかりに意識が向きがちです。しかし、実際に評価を左右するのは説明の流暢さではなく、質疑応答への対応力です。
説明会や庁議では、説明後の質問にどれだけ的確に答えられるかによって、聞き手の納得度が大きく変わります。
どれほど丁寧に説明しても、質疑応答で詰まってしまえば、「準備不足」という印象を与えてしまいます。反対に、難しい質問にも答えられれば、説明全体の信頼性は一段と高まります。
本記事では、住民説明会・庁議における質疑応答の重要性と、想定質問をどのように準備すればよいのかを具体的に解説します。
1. 説明よりも質疑応答に重きを置くべき理由
繰り返しとなりますが、住民説明会や庁議では、説明そのものよりも質疑応答の出来が全体の評価を左右します。どれだけ資料が整っていても、質問に的確に対応できなければ、聞き手の満足度は高まりません。
逆に、聞き手の納得度は、質疑応答でしか上げることができません。
説明の目的は二つあります。
✔分からないことを理解してもらうこと。
✔その理解を腹落ちさせること。
前者は説明で達成できますが、後者は問いに答えるやり取りの中でしか生まれません。
2. 納得感を生む結論ファーストの答え方
質疑応答においては、まず結論を述べ、その後に理由や補足説明を行うことが基本です。
実際には、時系列で話してしまったり、結論に至るまでの背景や、あるいは言い訳のような説明から話し始めてしまうことがあります。
話し手自身は結論を理解しているため、「順を追って説明しているつもり」になりがちです。
しかし、聞き手は結論を知らない状態で話を聞いているため、「この話はどこに向かっているのか」「いつ結論にたどり着くのか」が分からず、負担やストレスを感じてしまいます。
そのため、質疑応答では、最初に結論を示し、その後に理由や経緯を簡潔に説明することが重要です。これにより、聞き手は話の全体像を把握しやすくなり、理解も格段に深まります。
また、質問の意図が分からないまま答えるのも危険です。勝手に解釈して回答すると「そういうことではない」と議論がずれてしまいます。
意図が曖昧なときは、「〇〇というご趣旨でしょうか」と確認してから答えることで、無用な行き違いを防ぐことができます。
3. 質疑応答を安定させる資料設計の考え方
質疑応答で避けたいのは、「それは検討していません」「資料が手元にありません」といった、何も答えられない状況です。
この状態を招く一因は、資料に情報を詰め込みすぎることです。調べたことをすべてスライドに載せると、細部に対する質問が増え、本筋から外れた回答困難な論点が生まれます。
資料はすべてを語る場ではありません。
スライドは完成度100%ではなく、7割程度のボリュームに抑えます。
適度な余白があることで、「ここを聞きたい」というポイントが明確になり、想定内の質問が飛びやすくなります。資料の構成そのものが、質問を誘導する設計になっていることが理想です。
4. 想定問答は「嫌な質問」から準備する
想定問答を作るとき、多くの人は答えやすい質問から整理してしまいます。しかし本当に準備すべきなのは、答えづらい質問です。
例えば、次のような問いです。
- 将来的にどのようなビジョンを描いているのか
- なぜ今このタイミングなのか
- 他の案ではなく、これを選んだ理由は何か
- どのような効果を見込んでいるのか
これらは抽象度が高く、準備なしでは答えに詰まりやすい問いです。
準備すべきなのは、「聞かれると嫌な質問」です。
突っ込まれたくない部分や、調査に時間がかかる部分を先に整理しておくことで、不安要素を事前に消すことができます。その結果、当日の説明にも落ち着きが生まれます。
質問は、「聞かれそうな質問」と「聞かれると嫌な質問」をそれぞれ20個程度書き出すと効果的です。量を出すことで、論点の抜け漏れが見えてきます。
5. 第三者視点で想定質問の精度を高める
担当者である自分は、その業務内容を理解しています。そのため、初見の人がどこで疑問を持つのかに気づきにくい傾向があります。
だからこそ、担当外の職員など、立場の異なる人に説明を聞いてもらうことが重要です。
どこで引っかかったのか、どの部分が分かりにくかったのかを率直に教えてもらうことで、想定質問の精度は一気に高まります。
自分では想定していなかった問いこそ、本番で出る可能性があります。
6. 準備不足を防ぐためのスケジュール管理
想定問答の準備は、説明資料が完成した後に取りかかることが多く、その結果、時間が足りなくなりがちです。そのまま準備が不十分な状態で説明会に臨んでしまうこともあります。
これを防ぐためには、説明会までのスケジュールを組む段階で、想定問答の作成期間を明確に組み込む必要があります。
想定問答は、余った時間で準備するのではなく、説明資料と同じ重要資料と考えます。
さらに、質問内容によっては他部署に資料作成や確認を依頼する必要があります。その作業期間も見込んで、早めに準備を進めることが重要です。
まとめ
住民説明会や庁議では、説明資料の完成度よりも、質疑応答への対応力が評価を左右します。説明は理解の入口に過ぎず、納得は問いへの応答の中で生まれます。
✔結論から答えること。
✔資料を詰め込みすぎないこと。
✔嫌な質問から準備すること。
✔その準備をスケジュールに組込むこと。
これらを徹底すれば、説明の場は不安な時間ではなく、信頼を積み上げる機会へと変わります。

