「建築職公務員、正直きついかもしれない」
そんな気持ちを抱えたことはありませんか。
「民間で設計をしている同期の話を聞くと、自分の仕事が物足りなく感じる。」
「調整や資料作成ばかりで、建築をしている実感が湧かない。」
「このまま定年まで働く未来を想像して、不安になる。」
建築職公務員という仕事は安定している一方、配属先によって業務内容が大きく異なるため、「思っていた仕事と違う」と感じやすい職種でもあります。
この記事では、建築職公務員が辞めたいと感じる背景を整理し、本当に辞めるべきケースと踏みとどまるべきケースの違いについて考えていきます。
建築職公務員が辞めたいと感じる理由
1. 建築の“ものづくり”から距離を感じる
営繕や審査部門では、実際に図面を描く機会は多くありません。設計そのものよりも、法令確認や積算、協議、発注調整などが中心になります。
大学で学んだ設計課題のような仕事を想像していた人にとっては、このギャップが想像以上に大きく感じられることがあります。
「自分は建築をやりたかったはずなのに」と思い始めると、違和感が積み重なっていきます。
2. 調整業務の比重が大きい
公務員の建築職は、設計者というより“調整役”に近いです。
住民説明、庁内協議、業者との打ち合わせ、議会対応など、立場の違う人たちの間に入り、合意点を探すことが仕事の中心になることもあります。
建築そのものよりも、人との調整にエネルギーを使う日々が続くと、「自分は何をしているのだろう」と感じてしまうことがあります。
3. 責任の重さと評価のバランス
確認審査や許認可の業務は、判断を誤れば大きな問題につながります。責任は重いにもかかわらず、公務員の評価制度は比較的横並びです。
その結果、「責任の大きさに対して、見返りが小さい」と感じてしまうことがあります。
4. 異動による専門性の分断
建築職は数年ごとに異動することが一般的です。審査から営繕へ、営繕からまちづくりへと変われば、業務内容はまったく異なります。
新しい知識を学べるという前向きな面もありますが、「やっと慣れてきたのにまたゼロから」という感覚は、時に大きな負担になります。
辞めたい理由は「環境」か「価値観」か
ここが最も重要なポイントです。
辞めたいという感情の背景には、大きく分けて二つの要因があげられます。
一つは、今いる部署や上司との相性、業務量など、環境に起因するものです。
この場合、異動によって状況が改善する可能性があります。建築職は部署によって仕事内容が大きく変わるため、今の経験だけで職種全体を判断するのは早計かもしれません。
もう一つは、自分の価値観とのズレです。
設計を中心に仕事をしたい、成果で評価されたい、スピード感のある環境で働きたい。こうした希望が強い場合、公務員という働き方そのものが合っていない可能性があります。
環境の問題なのか、価値観の問題なのか。この切り分けができていないまま辞めてしまうと、次の職場でも同じ悩みにぶつかる可能性があります。
それでも辞めたいと感じたら
まず考えてほしいのは、「今のつらさは一時的なものか」という点です。
・異動の可能性はあるか。
・部署が変われば仕事内容は変わるか。
・今の上司が変わるだけで状況は改善するか。
もし“今の環境だけ”が原因であれば、辞めるという選択は少し待ってもよいかもしれません。
一方で、「設計をやりたい」という思いが明確であり、民間での働き方も理解したうえで転職を考えているのであれば、それは前向きな選択です。
ただし、資格や実務経験といった“武器”があるかどうかは冷静に見ておく必要があります。
建築職公務員の価値を改めて考える
辞めたい気持ちが強くなると、仕事の良い面が見えなくなります。
しかし、安定した収入、社会的信用、公共事業に関わる責任と影響力は、民間では簡単に得られないものです。
まとめ
建築職公務員を辞めたいと感じるのは、決して珍しいことではありません。ただ、その感情の背景を整理せずに決断すると、後悔につながる可能性があります。
大切なのは、「環境の問題」なのか「価値観の問題」なのかを見極めることです。そして、自分が五年後にどうなっていたいのかを考えることです。
辞めるかどうかは、感情ではなく分析して決める。その視点を持てれば、どちらの選択をしても納得のいく道になります。


