「頑張っても評価は変わらない」
「結局、年数がものを言う世界だ」
公務員として働く中で、こうした気持ちがよぎったことはないでしょうか。
公務員の仕事は社会に不可欠で、責任も大きい仕事です。それでも、モチベーションの維持が難しいと感じることがあります。
それは個人の気合いや性格の問題ではなく、制度や組織の構造そのものに理由があるからです。
この記事では、公務員のモチベーション維持が難しいと感じやすい背景を整理します。
① 成果と報酬が連動しにくい評価構造
民間企業では、大きな成果を出せばボーナスや昇給に反映されることがあります。
しかし、公務員の場合、事業を成功させても、劇的に給与が上がるわけではありません。
もちろん、人事評価によって多少の昇給差は生まれますが、それはあくまで「多少」です。
大規模事業をやり遂げても特別手当が付くわけでもなく、逆に大きな挑戦をしなくても給与が大きく下がることもありません。
つまり、「頑張り」と「報酬」が強く結びついていない構造なのです。
この仕組みは安定という意味では安心材料ですが、成果によって燃えるタイプの人にとっては、物足りなさにつながります。
② 年功序列が前提の給与体系
公務員の給与体系は、基本的に年数を重ねることで上がっていきます。
仕事量や成果よりも、在籍年数が影響します。
自分より業務量が少ない人であっても、年上であれば給与が高いという状況も珍しくありません。
これは制度として決まっていることで、個人の問題ではありませんが、「努力と報酬が比例しない」と感じやすい環境であることは確かです。
若手でバリバリ働く人ほど、
「自分は何のためにこんなに忙しいのだろう」と思ってしまうことがあります。
③ できる人に業務が集中する構図
さらに厄介なのが、「仕事ができる人ほど忙しくなる」構造です。
突発的な案件や、緊急対応が必要な業務は、
理解が早く、処理能力の高い人に依頼されがちです。
結果として、能力が高い人ほど業務量が増え、評価や給与はほとんど変わらないという状態が生まれます。
頑張る人が報われるどころか、
頑張る人ほど疲弊していく構図になりやすいのです。
④ 異動によるキャリアの分断
多くの自治体では、3年前後で異動があります。
そのため、一つの事業を企画から完了まで一貫して担当することは多くありません。
途中で異動となり、次の担当者へ引き継ぐことになります。
大規模なまちづくりや施設整備事業などは、
10年以上かかることも珍しくありません。
その結果、「自分の仕事が形になった」という実感を得にくいのです。
中には「自分の代で問題が起きなければよい」と、波風を立てずに過ごそうとする人もいます。
挑戦よりも安定が優先されやすい環境は、
挑戦意欲のある人にとってはもどかしさにつながります。
⑤ 縦割り行政による挑戦のしづらさ
行政組織は専門性を高めるために分業が進んでおり、各部署は日々の業務で手一杯です。
新しい取り組みを提案しても、
「それはそちらの担当では?」
「うちの業務が増えるのは困る」
と、協力が得られにくいこともあります。
結果として、新しい挑戦が“仕事の押し付け合い”の構図に変わってしまうこともあるのです。
前向きな提案が、負担増として受け取られる経験が重なると、自然と挑戦を避けるようになっていきます。
まとめ|モチベーションの問題は「個人」ではなく「構造」
公務員のモチベーション維持が難しいのは、
・成果と報酬が強く連動しない
・年功序列が基本である
・できる人に仕事が集中する
・事業を最後まで担当しにくい
・縦割り構造が強い
といった、制度的・組織的な背景があるからです。
だからこそ、「やる気が出ない自分はダメだ」と思う必要はありません。
大切なのは、
外部評価に依存しない“自分なりの軸”を持つことです。
評価制度はすぐには変えられませんが、自分の成長の測り方は、自分で決めることができます。
公務員という安定した環境の中で、
どうやって主体的に成長実感を作るのか。
それを考えることが、
モチベーション維持の第一歩につながります。

