公務員の仕事は全て「計画」に基づいている
公務員の仕事は、思いつきや場当たり的な判断で行われているわけではありません。
多くの業務は、定められた「計画」に基づいて進められています。
庁内の会議や打合せでは、
- 「この事業は、どの計画に位置づいていますか?」
- 「上位計画との整合は取れていますか?」
と聞かれ場面も多く、各業務が何の計画のどこに位置づいているのか把握しておくことが重要です。
この記事では、
公務員が関わる主要計画である「総合計画」「都市計画マスタープラン」「立地適正化計画」の概要を、イメージしやすい説明を交えながら整理します。
総合計画|自治体という「組織」の最上位方針
総合計画の概要
総合計画は、自治体が目指す将来像と、その実現に向けた施策の方向性を示す
自治体運営の「最上位」計画です。
都市政策だけでなく、
- 福祉
- 教育
- 産業
- 防災
など、すべての分野を横断して位置づけます。
多くの自治体では、次の三層構造になっています。
- 基本構想:将来像・理念(長期)
- 基本計画:施策の体系・目標(中期)
- 実施計画:具体的な事業(短期)
総合計画=自治体という組織の「経営理念・経営方針」
総合計画は、自治体という組織の「経営理念・経営方針」です。
- どんなまちを目指すのか
- どの分野に力を入れるのか
を示すものになります。
総合計画がないと、どのような問題が起きるのか
総合計画がない、または形骸化していると、行政運営そのものに歪みが生じます。
主に次のような問題が生じます。
① 行政運営の「軸」がなくなる
総合計画がない状態では、
- 何を優先するのか
- どの分野に力を入れるのか
- 将来どんな自治体を目指すのか
といった共通の方向性が定まりません。
その結果、
- 部署ごとにバラバラな判断
- その時々の要望に流される施策
- 首長や担当者が変わるたびに方針が揺れる
といった状況が起こります。
👉 「成り行き任せの行政」になりやすくなります。
② 事業の説明ができなくなる
総合計画は、事業や施策を説明する際の最も基本的な根拠です。
これがないと、
- なぜこの事業を行うのか
- なぜ今この予算が必要なのか
- 他の事業より優先する理由は何か
を、計画に基づいた説明ができません。
結果として、
- 庁内会議で説明が弱くなる
- 議会での質問に答えづらくなる
- 住民への説明が「その場しのぎ」になる
という問題が生じます。
👉 「一貫した説明ができない行政」になります。
都市計画マスタープラン|まちづくりの設計図
都市計画マスタープランの概要
都市計画マスタープランは、
都市計画に関する基本的な方針を示す計画です。
主な内容は、
- 将来の都市構造
- 土地利用の方向性
- 道路・公園など都市施設の考え方
- 自然環境や景観への配慮
など、まちづくり全体の方向性を整理したものです。
用途地域や都市施設といった個別の都市計画は、
この計画を踏まえて決定・変更されます。
都市計画マスタープラン=まちづくりの「設計図」
都市計画マスタープラン=まちづくりの「設計図」
- 総合計画が「何を目指すか」なら
- 都市マスは「まちをどうつくるか」
を示す計画です。
根拠法令
都市計画法 第18条の2 第1項
「市町村は…当該市町村の都市計画に関する基本的な方針を定めるものとする。」
(※一部省略)
都市計画マスタープランがないと起きる問題
都市マスが無い場合、
都市の形そのものに悪影響が生じます。
主に次のような問題が生じます。
① 都市の将来像が定まらず、場当たり的な都市構造になる
都市マスがない状態では、
- その時々の開発案件
- 個別の要望対応
- 前例ベースの判断
が積み重なっていきます。
その結果、
- 市街地が無秩序に拡散する
- 用途が混在し、生活環境が悪化する
- 公共施設やインフラの配置に一貫性がなくなる
など、長期的に見て非効率な都市構造になりやすくなります。
👉 「その時は合理的」でも、「後から見ると歪んだまち」になるのが最大の問題です。
② 公共投資の効率が著しく低下する
都市マスは、
- どこを重点的に整備するか
- どこは抑制するか
を示す役割を持っています。
これがないと、
- 広範囲に薄く投資する
- 必要性の低い場所にもインフラを延ばす
- 更新時期が重なり、財政負担が増大する
といった状況が起こります。
👉 都市マスがない=公共投資の優先順位がつけられない状態です。
立地適正化計画|人口減少時代にまちを維持するための計画
立地適正化計画の概要
立地適正化計画は、
都市計画マスタープランで描いた将来像を前提に、
- 人口減少
- 少子高齢化
- 財政制約
といった現実的な課題に対応するため、
居住や都市機能を一定のエリアに誘導する計画です。
人口が分散したままだと何が問題か
人口減少が進む中で、人が市街地全体に分散したままだと、
- 道路や上下水道などの公共施設を広範囲で維持管理し続ける必要がある
- 利用者が少なくても、インフラは最低限維持しなければならない
- 結果として、維持管理費や更新費が増大する
という問題が生じます。
👉 人は減っているのに、管理する範囲だけが広い状態です。
立地適正化計画が目指す考え方
立地適正化計画では、
- 人が住む場所を集約する
- 医療・福祉・商業などの都市機能を集約する
- それに合わせて、公共施設やインフラの整備・維持管理箇所も集約する
という考え方を取ります。
その結果、
- 公共施設の維持管理範囲を縮小できる
- 更新や整備を重点的に行える
- 中長期的に財政負担の軽減につながる
ことが期待されます。
👉立地適正化計画は、まちづくりであると同時に「財政を守るための計画」です。
根拠法令
都市再生特別措置法第81条第1項
「市町村は…住宅及び都市機能増進施設…の立地の適正化を図るための計画を作成することができる。」
(※一部省略)
まとめ
まとめ|主要計画をイメージで理解すると説明が楽になる
- 総合計画は自治体運営の最上位方針
- 都市計画マスタープランはまちづくりの設計図
- 立地適正化計画は人口減少時代に対応する計画
- 行政の仕事は計画に基づいて行われている
- 庁内では計画の位置づけが必ず問われる
計画を「言葉」ではなく「イメージ」で理解できると、説明力は確実に上がります。


